分散と集中は両立できる?投資家に必要な資産配分の基本戦略

投資の世界では「分散投資が基本」とよく言われます。一方で、著名な投資家たちは「集中投資こそが成功の鍵だ」とも語ります。では、分散と集中は矛盾する概念なのでしょうか?

実はこの二つの考え方は、あるフレームワークを使うことで共存させることが可能です。それが、「コア・インカム・サテライト戦略」です。本記事ではこの戦略を用いた資産配分方法について解説し、分散と集中の“いいとこ取り”をする方法をご紹介します。


コア・インカム・サテライト戦略とは?

この戦略は、ポートフォリオを以下の3つのパートに分けて構成する考え方です:

  1. コア(Core):資産の安定成長を担う主軸
  2. インカム(Income):配当・金利・オプションなど、安定的な現金収入を得る部分
  3. サテライト(Satellite):高成長や高リスク資産でリターンを狙う実験枠

この分類を取り入れることで、リスクとリターンのバランスを取った投資が可能になります。


1. コア:資産を守りながら育てる安定枠

コア部分は、ポートフォリオの50%〜70%程度を占める基盤となる資産です。

例えば:

  • 米国大型株(例:VTI、WMT、MSFT)
  • インデックスETF(S\&P500、全世界株など)
  • 債券ETF(AGG、BNDなど)

この部分は「資産を大きく増やす」というより、市場平均に近い安定成長を目的とした部分です。仮に他のパートがうまくいかなかったとしても、コア資産が一定の役割を果たしてくれれば、ポートフォリオ全体が大きく揺らぐことはありません。

また、コア部分でオプション戦略(Covered Callなど)を組み合わせることで、より高いインカム収益を得ることも可能です。


2. インカム:現金収入で再投資原資を確保

インカム部分は、配当や不動産収入など現金収入をもたらす資産を指します。目安としては10〜30%程度

具体例:

  • 高配当株(例:HDV、VYM、MOなど)
  • リート(J-REITや米REIT)
  • オプション取引(売り)
  • 債券や優先株も選択肢に入ります

この部分の目的は、キャッシュフローの確保と心理的安定です。インカムがあれば暴落時にも落ち着いて対応でき、また再投資の資金源にもなります。


3. サテライト:夢を追う挑戦枠

サテライト部分は、ポートフォリオの5〜20%程度。ここでは大きな成長を狙い、高リスク・高リターンの資産を組み込みます。

例:

  • 小型成長株(例:AI、量子コンピュータ、ロボティクス関連)
  • IPO直後の企業やテーマ株
  • ビットコインなどの暗号資産
  • レバレッジETF、オプション取引(買い)、先物など

ここでは“失敗しても生活に影響のない金額”で大胆に投資することが許されます。逆に、この枠で成功すれば資産全体の成長を大きく押し上げる原動力にもなります。


この戦略が「分散と集中を両立する」理由

コアで守り、サテライトで攻める。インカムで現金収入を得て再投資。
この3つの役割を明確にすることで:

  • リスク分散(資産・時間・地域・通貨)が自然に組み込まれ
  • 集中投資(サテライト)の恩恵も受けられる

つまり、「リスクを管理しながらチャンスを取りに行く」設計ができます。


ポートフォリオ構成例(イメージ)

割合主な資産
コア60%VTI, WMT, S\&P500 ETF
インカム25%VYM, MO, オプション収益
サテライト15%AI関連株、BTC、レバETF

このように構成すると、バランスを保ちつつ、利益拡大の余地も十分に残せます。


最後に:あなたの「分散と集中」の黄金比を探そう

資産配分に正解はありません。年齢・収入・目標によって「ちょうどいい比率」は人それぞれです。

ただ、自分の中で「守る枠」「育てる枠」「夢を追う枠」を分けて考えることで、投資に軸が生まれ、ぶれにくくなります。

「分散しすぎて何をしているのか分からない」
「集中しすぎていつも不安に追われている」

そんな悩みを解決するのが、コア・インカム・サテライト戦略です。

あなた自身の“分散と集中のバランス”を、このブログを通じて一緒に探していきましょう。

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