多くの投資家が「高配当株こそが安定投資の王道」と考える中で、私はあえて高配当株をポートフォリオの“土台”には据えていません。
配当による安定収入は確かに魅力的です。しかし、それだけで資産形成の柱にするのは、私の戦略とは相容れないと感じています。
この記事では、「なぜ高配当株をコアにしないのか?」という理由と、それに代わる私の投資アプローチについてお話しします。
高配当株の魅力は否定しない
まず前提として、高配当株そのものが悪いというわけではありません。
- 配当による定期収入(インカムゲイン)
- 株価変動に対する心理的安定
- 長期保有に向いたビジネスモデル(公益、通信、消費安定株など)
これらは、特にリタイア層や資産保全フェーズの投資家にとって非常に合理的な選択です。
それでも「土台」にしない3つの理由
ではなぜ、私はこの魅力ある高配当株を“ポートフォリオのコア”にしないのか?
それには明確な理由があります。
1. 配当=資本の取り崩しに等しいことがある
配当は企業の利益の一部を株主に分配するものですが、配当を出すことで再投資や成長資金が減少することにもつながります。
特に成熟企業では、成長機会よりも配当維持が優先される傾向があり、「株主に配ることで成長を止める」ことになりかねません。
2. 税制上の効率が良くない
配当金には通常、20.315%の税金がかかります。これに対して、未実現のキャピタルゲインには課税されません。
つまり、高配当株をコアにすると、税引き後の実質リターンが目減りしやすい構造になります。
3. 成長力が乏しく、資産拡大がしづらい
高配当株の代表格である公益株や通信株、タバコ株などは、成長性が限定的です。
ポートフォリオの中心をこれらに据えると、インカムは得られても資産そのものの拡大が難しくなるというジレンマがあります。
代替案:安定株×オプション収益のハイブリッド戦略
私が“土台”として選んでいるのは、ボラティリティが小さく、事業が安定している大型株にオプション戦略を組み合わせる手法です。
例:
- コア銘柄:WMT(ウォルマート)、KO(コカ・コーラ)など
- 戦略:デルタ0.2以下のCovered Call or Put売り
こうすることで:
- 株価下落リスクを抑えつつ
- 定期的なプレミアム収入(インカム)を得られ
- 成長余地も残す(配当株より高い資本効率)
という、高配当株のような安定性と収益性を再現しつつ、それ以上の成長余地を確保を狙うことが可能です。
インカムを求めるなら「仕組み」で作る
高配当株が提供するものは、あくまで「自動的に分配される収入」です。
一方、オプション戦略や積立売却(自分年金)を使えば、自分でコントロール可能な“仕組み収入”を作ることができます。
- Covered Callで週次・月次インカムを生む
- 一部の株を定期売却して現金化(税効率を考慮)
- REITやインカムETFを“補助枠”に加える(主軸にしない)
このように、配当に頼らずともインカムは自作可能です。
投資の目的に応じて手段を選ぶ
投資には目的があります。
- 資産を増やしたい
- 定期収入が欲しい
- リタイア後の生活資金を得たい
この目的に応じて、高配当株を使うか、他の戦略を選ぶかを決めるべきです。
私は「資産拡大+柔軟なインカム化」を目指しているため、
- 高配当株=サブ(補助枠)
- 安定株+オプション戦略=コア(主軸)
という位置づけで活用しています。
まとめ:配当ではなく、設計で安定を得る
高配当株に頼らなくても、設計次第で同等以上のインカムと安定性を確保することは可能です。
- 税効率
- 成長力
- 柔軟性
これらを重視するなら、配当よりも「戦略」を工夫するほうが合理的です。
あなた自身の投資目的に応じて、“自分に合った土台”を見つけてください。
「配当があるから安心」ではなく、
「構造で安心を作れるか?」という視点を持つことが、これからの時代の投資家に求められる力だと私は考えています。
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