相場がどれほど加熱しているのか、あるいは冷え込みすぎているのかを測る指標の一つに「オシレーター系指標」があります。これは価格の絶対的な水準ではなく、“行き過ぎ”を測定するためのツールです。
「買われすぎ」「売られすぎ」は一見すると単純な概念ですが、実際のトレードでは誤解や過信によりミスリードを招くこともあります。本記事では、オシレーターの定義から各指標の特性、投資家としてどう活用すべきかを解説します。
1. オシレーターとは何か?
オシレーター(Oscillator)とは、価格の変動が一定範囲内で上下することを前提に、過熱感・冷却感を数値化した指標です。
特徴:
- 通常「0〜100」の範囲、または中心線(例:0)を基準に上下する
- 「買われすぎ=高水準」「売られすぎ=低水準」と判断される
- レンジ相場に強く、トレンド相場には弱い傾向
2. なぜ“買われすぎ=下がる”ではないのか?
よく使われる考え方として、
「RSIが70を超えた → 売りサイン」
という判断です。これも考え方として間違いではありませんが、
別の味方をすると:
- 強い上昇トレンドでは、RSIは70〜90で“張り付き”続けることがある
- 「買われすぎ」は天井サインではなく“勢いが強い”という意味合いも持つ
銘柄やその時のモメンタムもあるので、
「トレンドの持続性 or 転換点の兆候」として総合的に解釈します。
3. 代表的なオシレーターとその読み方
RSI(Relative Strength Index)
- 買われすぎ水準:70以上
- 売られすぎ水準:30以下
- 判断ポイント:
- RSIが70以上で勢いのある上昇または転換点
- トレンド中は“押し目”が50付近で止まることも多い
▶ 投資家の見方:
- RSIのトレンドラインを引く(RSI自体にトレンドを見る)
- RSIのダイバージェンス(価格は上昇、RSIは下降など価格の動きとテクニカル指数の動きが逆行する事)※を重視
- ※▼ チャート上の動き
時点 | 価格(チャート) | RSIなどの指標 |
---|---|---|
A | 高値①(100ドル) | RSI = 75 |
B | 高値②(105ドル)→ 高値更新 | RSI = 70 → 切り下げ |
- 価格は 100 → 105ドルへ上昇しており、見た目上は強いトレンドです。
しかし、RSI(またはMACDなどのオシレーター系指標)は 75 → 70へ下がっている。
これは何を意味するのか?「価格」は買われているように見えるでも「指標」は前回よりも弱い反応しかしていない
→ これは “買いの勢いが弱まっている”兆候 です
ストキャスティクス(Stochastic Oscillator)
- 買われすぎ水準:80以上
- 売られすぎ水準:20以下
- 2本のライン(%Kと%D)のクロスでタイミングを判断
▶ 投資家の見方:
- クロスの方向だけでなく、どの水準でクロスしたかに注目
- トレンド中は“高値圏でのクロス”は無視し、“戻り売り・押し目買い”と組み合わせる
具体例①:押し目買いにストキャスを活用(上昇トレンド中)
▼ 状況:
•銘柄:A社
•トレンド:移動平均線が上向き/価格は安値・高値を切り上げ中
•価格がやや下落している(調整)
▼ ストキャスの動き:
•ストキャスが20以下に突入 → 反転して%Kが%Dを上抜けクロス
▼ 判断:
•下降ではなく、“押し目(調整)”と判断
•ストキャスのクロスが、押し目終了=再上昇開始のサイン
エントリー:
•ストキャスが20以下からゴールデンクロス+陽線出現+MAに支えられている
→ 押し目買いエントリー
具体例②:戻り売りにストキャスを活用(下降トレンド中)
▼ 状況:
•銘柄:B社
•トレンド:移動平均線が下向き/価格は高値・安値を切り下げ中
•一時的に反発(戻り)している
▼ ストキャスの動き:
•ストキャスが80以上に上昇 → 反転して%Kが%Dを下抜けクロス
▼ 判断:
•上昇ではなく、“戻り”と判断
•ストキャスのクロスが、戻り終了=再下落開始のサイン
エントリー:
•ストキャスが80以上からデッドクロス+陰線出現+MAに抑えられている
→ 戻り売りエントリー
MACD(Moving Average Convergence Divergence)
- 中心線(0)を基準に上下する
- トレンド転換や勢いの衰えを示唆
▶ 投資家の見方:
- ヒストグラムの“縮小”や“ゼロライン接触”の動きに注目
- MACDラインとシグナルラインの“距離感”と“角度”を観察
CCI(Commodity Channel Index)
- 中心線0、+100以上が買われすぎ、−100以下が売られすぎ
- ボラティリティに敏感
▶ 投資家の見方:
- トレンド中の“+100〜+200維持”は非常に強いシグナル
- 中心線付近の推移は“エネルギー蓄積ゾーン”と解釈
4. オシレーターの勘違いを回避するには?
オシレーター単体では、判断が迷う事が頻発します。以下の補助視点を加えると精度が高まります。
トレンドの有無を先に判断
- トレンドがある:移動平均線やADXで確認
- トレンドがない:オシレーターを積極活用
他の指標との組み合わせ
- RSI × MACD:モメンタムの一致確認
- ストキャス × ボリンジャーバンド:価格と勢いの両面を補完
ダイバージェンスを重視
- 価格と指標の動きが“逆行”しているときは注意信号
- 特に“高値更新だがRSIは下落”→ トレンド転換予兆
5. 実務での活用パターン
パターンA:RSIで押し目買いポイントを探す
- トレンド中の調整時に50〜40で止まれば押し目候補
- 買いサインは、反転して再び上昇する確認後に
パターンB:ストキャスでレンジ逆張り
- 範囲が明確なレンジ内での20以下買い/80以上売り
- ただしブレイクの兆候(出来高増加など)には注意
パターンC:ダイバージェンスで転換察知
- 価格が高値更新、MACDやRSIが低下 → 上昇トレンドの終息
- エントリーは早すぎないように、トリガーはローソク足や移動平均で
7. まとめ:オシレーターだけに頼らない
オシレーターは株価の“過熱”と“冷え込み”を視覚化する、してくれますが市場は様々な指標や株価が連動しています。
- 買われすぎは「高値だから売る」だけではなく「買い勢いが強い」と判断する事もできる事
- 売られすぎも「底値だから買う」だけではなく「売りが一巡しているか」の判断材料にも使用可能
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