移動平均線(Moving Average)は、テクニカル分析において最も基本的かつ多用される指標のひとつです。価格の平均を一定期間で滑らかにし、トレンドの方向性を視覚的に示してくれるこの指標です。
移動平均線には種類、計算方法、特性の違いについて理解する事で知識ベースで指標を使いこなす事がが重要です。
この記事では、単純移動平均(SMA)、指数移動平均(EMA)、加重移動平均(WMA)の違いや特徴、さらに実務での使い分けについて解説していきます。
1. 移動平均線とは?
移動平均線とは、一定期間の終値の平均を時系列でつないだ線です。チャート上に表示させることで、価格の傾向やトレンドの方向性を確認することができます。
移動平均線の主な役割は以下の通りです:
- ノイズ(短期的な変動)を除去し、相場の流れを滑らかにする
- トレンドの方向性(上昇・下降・横ばい)を明示する
- 他のテクニカル指標(MACDなど)の基礎となる
2. 単純移動平均線(SMA)
🔹 定義と計算方法
SMA(Simple Moving Average)は、一定期間の終値の単純な平均です。
例(5日SMA):
🔹 特徴
- 最も基本的な移動平均線
- 各日の価格に同じ重みを与える
- 突発的な変動(急騰・急落)に影響されやすい
🔹 実務での使い方
- 長期トレンド(50日、100日、200日など)を確認する際に有効
- ゴールデンクロス/デッドクロスで売買シグナルを判断
3. 指数移動平均線(EMA)
🔹 定義と計算方法
EMA(Exponential Moving Average)は、直近の価格により大きな重みを与える移動平均線です。
計算式には平滑化係数()を用います。
🔹 特徴
- 最新の価格変動を素早く反映
- SMAよりも反応が早い
- トレンド転換のサインがやや早めに出る
🔹 実務での使い方
- 短期売買、スイングトレードでのトレンドキャッチに有効
- MACDなどの指標の中核に組み込まれている
4. 加重移動平均線(WMA)
🔹 定義と計算方法
WMA(Weighted Moving Average)は、直近の日数に比例した重みを与える移動平均です。
例(5日WMA):
🔹 特徴
- 最も直近の価格に最大の重みを与える
- EMAよりもさらに短期的な動きに敏感
- ノイズを拾いやすく、過剰反応のリスクもある
🔹 実務での使い方
- デイトレードや超短期売買に適する
- EMAと比較し、反応の鋭さを確認して併用可能
🔹 CMTA試験でのポイント
- 重みの与え方と計算方法を理解しておく
5. 実務における使い分け方のコツ
比較項目 | SMA | EMA | WMA |
---|---|---|---|
反応速度 | 遅い | 中程度 | 速い(最速) |
ノイズへの強さ | 強い | 中程度 | 弱い(拾いやすい) |
使用場面 | 長期トレンドの確認 | 短中期の方向性 | 短期売買タイミング |
トレード向き | スイング、中長期 | 短中期 | デイトレ・超短期 |
6. ゴールデンクロス/デッドクロスでの応用
移動平均線の基本的な売買判断の一つが、短期線と長期線のクロスによるサインです。
- ゴールデンクロス:短期線が長期線を上抜け → 買いサイン
- デッドクロス:短期線が長期線を下抜け → 売りサイン
実務では、SMA×SMAやEMA×SMA、EMA×EMAなど、異なる種類の平均線の組み合わせで精度を調整します。
例:
- EMA(12) × EMA(26) → MACDで使用
- SMA(50) × SMA(200) → 中長期投資判断に使われる定番
7. まとめ:移動平均線の平均化が何を示すか考える。
移動平均線は単なる線ではありません。価格の流れを平均化し、トレンドの方向や転換のタイミングを“見える化”しますが、どのような移動平均線を使用しているかを理解する事で戦略が広がります。
- 各移動平均線の定義・計算方法
- 特性の違いと使い分け方
実務では:
- 分析スタイルに応じて種類を選択し
- 時間軸・トレード手法に合った反応速度を調整する ことが、必要です。
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