チャートパターン攻略:三角持ち合い・ダブルトップ・ヘッドアンドショルダー

テクニカル分析において、チャートパターンも「相場参加者の心理」を視覚的に捉える重要な手法です。価格はランダムに動いているように見えて、一定のパターンを形成しながらトレンドの継続や転換を繰り返しています。

パターンとして有名な三角持ち合い(トライアングル)ダブルトップ/ボトム、ヘッドアンドショルダー(頭と肩)これらの基本構造、形成の背景、ブレイク判断、エントリーポイント、だましの見分け方までを解説していきます。


1. 三角持ち合い(トライアングル)

概要

三角持ち合いとは、価格が時間とともに収束していくチャート形状で、相場が“エネルギーを蓄えている”局面を示します。方向性が定まらず、収束の先にブレイク(上放れ/下放れ)が起こることが多いです。

主な種類と特徴

種類上辺下辺意味合い
上昇トライアングル水平切り上げ上放れしやすい(買い圧力が優勢)
下降トライアングル切り下げ水平下放れしやすい(売り圧力が優勢)
対称トライアングル切り下げ切り上げ上下どちらにもブレイクの可能性

実務での活用

  • 収束期間中の出来高は減少しやすい
  • ブレイク時に出来高が急増するかが判断材料

トレード戦略

  • ブレイク後にエントリー(事前エントリーは“だまし”のリスクあり)
  • 損切りラインは三角の反対側の辺を下回った位置に置く
  • 利益目標はパターンの高さ分(最も広い部分)をブレイク地点に加算/減算

2. ダブルトップ・ダブルボトム

概要

  • ダブルトップ:価格が2度天井をつけて下落 → 天井圏で出る“反転”パターン
  • ダブルボトム:価格が2度底を打って上昇 → 底値圏で出る“反転”パターン

これは、「失敗した高値更新/安値更新」が投資家の心理に与える影響を表現したパターンです。

構造の特徴

  • 2つの山または谷の間に“谷間(ネックライン)”がある
  • ネックラインを抜けることでトレンド転換が確定
  • 2つの山や谷の価格差は大きすぎず、小さすぎず

実務での活用

  • ネックラインを抜けるとエントリーチャンス
  • エントリーが早すぎると“2番天井/2番底”が“上昇/下落継続”だった場合に損失
  • ネックライン抜けの出来高増加が信頼性を高める

トレード戦略

  • ブレイク後に戻り(リテスト)があれば、そこがベストエントリー
  • 損切りラインは2番天井(または底)のやや上/下
  • 目標値はネックライン〜トップ間の値幅を使う

3. ヘッドアンドショルダー(H&S)

概要

  • 中央に高値(頭)を持ち、両側にやや低い高値(肩)がある形
  • 上昇トレンド終盤に出やすく、反転を示唆する
  • H&Sは売りサイン(天井圏)、逆H&Sは買いサイン(底値圏)

パターンの構造

  • 左肩:初回の高値
  • 頭:最も高い山
  • 右肩:高値トライ失敗
  • ネックライン:2つの谷を結ぶ水平線または斜線

実務での活用

  • ネックライン割れが本格的なトレンド転換のサイン
  • 出来高の変化:
    • 左肩形成時は出来高増加
    • 頭形成時はやや高水準
    • 右肩時は出来高減少(買い意欲低下)
    • ネックライン割れ時に出来高が急増するのが理想

トレード戦略

  • ネックライン割れでエントリー(リテストでのエントリーが安全)
  • 目標値は「頭〜ネックライン間の距離」を割れ位置から引いた水準
  • 損切りは右肩の上部やネックラインの上

4. パターン別 比較まとめ

パターン名種類相場での位置シグナル方向信頼性
三角持ち合い継続・反転両方トレンド中・保ち合い上・下両方中〜高(出来高が鍵)
ダブルトップ/ボトム反転高値圏/安値圏トレンド逆方向高め(ネックライン確認要)
ヘッドアンドショルダー反転天井圏(または底値圏)トレンド逆方向高い(出来高で補強)

5. チャートパターンを使いこなすための注意点

パターン認識における落とし穴

  • 「見える」だけではNG:実際の相場では曖昧な形状も多い
  • パターン形成には時間軸の一貫性が必要:日足なのか、週足なのかを明確に
  • パターン“未完成”でのエントリーは高リスク:必ず「完成+ブレイク」を確認

補助指標との併用が有効

  • 移動平均線でトレンド方向の確認
  • 出来高でパターンの信頼性を強化
  • RSIやMACDでモメンタムの裏付け

6. まとめ

チャートパターンは単なる形ではなく、

相場参加者たちの「期待」「失望」の集合体

として理解すると、その精度は格段に高まります。

  • 三角持ち合いは、意見がぶつかり合う均衡状態
  • ダブルトップは、2度の高値挑戦に失敗した心理の反映
  • ヘッドアンドショルダーは、買い手の力尽きと売り手の優勢転換

今回はパターンの構造・名称・ブレイク条件を紹介しましたが、実務ではそれに出来高とモメンタムの裏付けを加えて使用する事となります。お金が絡み個人が参加している以上、焦りや期待を持つ色々な人がいる世界です。

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